禁煙がすすめられるようになって数年が経ちました。喫煙者にはきびしく、味気ない世の中になりつつありますが、この機会に禁煙された人も大勢いたと思います。
禁煙の結果、よいことはありましたか?よく言われるのが、禁煙したことによって肌がきれいになったというものです。
喫煙はどれだけ肌に悪影響があるのでしょう。禁煙することによって、本当に肌はきれいになっていくのでしょうか。
目次
タバコをやめるとシミはきれいになる
タバコをやめると、シミはきれいになります。その理由をこれから説明していきましょう。若々しく、美しい素肌を守るには、やはり喫煙習慣はやめたほうがよさそうです。
シミの原因「メラニン」
戸外で紫外線を浴びると、それがシミの元となるメラニンを生成させてしまいます。健康な人でしたら、ターンオーバーといって皮膚が生まれ変わるときに、できてしまったシミも自然と消えていくものです。
子供のころを思い出してください。夏休みに真っ黒に日焼けしていても、冬には白い肌に戻っていたものです。それと同じように、大人になっても時間はかかりますが、紫外線での日焼けは元に戻すことは可能なのです。
これからも紫外線対策は続けることが必要ですから、日焼け止めの化粧品などでしっかり日焼け予防しましょう。そうやっていても、日焼けしたときの肌すべてが再生されるのには、何年もの月日がかかります。シミの元のメラニンは、それだけ皮膚の奥深くにあるということです。
シミを予防するのがビタミンC
メラニンの生成を抑えるのがビタミンCです。それだけでなく、弾力がありなめらかな素肌を作るのに必要な、コラーゲンの生成を助ける力もあります。
美肌にとってもっとも大切なビタミンであるビタミンC、1日に必要な量は100mgです。よくレモン何個分などと表記されていますが、レモン果汁5個分で約100mgになります。
ビタミンCは少しぐらい多めにとっても心配ありません。しっかり働いて余った分は、尿の中に自然に排出されてしまうのです。ですからビタミンCが含まれているものは、積極的にとっていきましょう。
ビタミンCを破壊するタバコ
タバコを1本吸うごとに、体内でビタミンCは25mgから100mg消えてしまうといわれています。100mgは1日に必要な量です。それが1本のタバコで失われてしまうのです。
どんなに日焼け対策をしていても、タバコ1本吸うだけで、すべてが無駄になってしまうことになりますね。1日にタバコを1箱も吸うと、どれだけのビタミンCが失われてしまうのでしょう。
残念なことに人間の体は、自分だけの力でビタミンCを合成することができません(他の哺乳動物のほとんどはできる)。食べ物で補うしかないのです。
タバコを1箱吸う人は、毎日レモン果汁100個分をとらないといけないことになってしまいます。もちろんビタミンCは、他の食物にも含まれていますから、レモン果汁だけを飲んでいる必要はありませんが、それにしても1日に2,000mgも摂取するのは大変です。
ビタミンCの不足は、肌の色にも影響を与えるのをご存じですか?シミの原因にもなるメラニンの生成を抑えるものがないので、肌全体にメラニンが広がっていく状態になってしまうのです。そのため日焼けをしているわけでもないのに、暗い肌色になってしまいます。
このように肌にとって大切なビタミンCを破壊してしまうので、喫煙は肌を荒らすことになってしまうのです。禁煙と同時に、ビタミンCの多い食生活に切り替えれば、肌の再生は順調にすすむでしょう。
タバコは老化を加速させる
喫煙による肌への影響は、シミだけではありません。恐ろしいことに、肌の老化を促進する作用があるのです。
無数の目尻の小じわ、深い法令線、実際の年齢よりも老けて見えてしまう老化は、喫煙によって進行してしまいます。
老化の原因
老化にはさまざまな原因があります。最大の原因は加齢ですが、こればかりはどうすることもできません。対抗策としてできることは、少しでも長く若いときの肌の状態を守っていくことでしょう。
紫外線の害については説明しました。他の要因は、皮膚が薄くなること、肌の糖化、乾燥、そして酸化があります。この肌の酸化に、実はタバコは大きな影響を与えているのです。
活性酸素による老化の原因はタバコ
人間は酸素を吸い、体内に取り入れて活用しています。その代表的なものが活性酸素です。活性酸素は体内に入ってきた雑菌などを撃退します。とても役立つ活性酸素なのですが、困ったことに多すぎると今度はトラブルの元になってしまうのです。
活性酸素の強い酸化作用は、破壊しなくていいものまで破壊してしまいます。そのため正常な細胞を破壊してしまうので、ターンオーバーがうまくできず、肌荒れ、ニキビなどの原因となってしまうのですね。
どうしてそんなに活性酸素が大量に発生してしまうのでしょう。原因はタバコに含まれている、発癌物質でもあるタールなのです。
大気汚染や発癌物質に対して反応する活性酸素ですから、タールのような発癌物質が侵入してくると数を大量に増やして、臨戦態勢に入ります。そうすると肌の酸化が進行して劣化し、老化がどんどん進むことになってしまうのです。
活性酸素の働きを抑えるには、抗酸化作用のある食品を多くとるしかありません。緑黄色野菜、海藻類、ヨーグルトなどの発酵食品、ポリフェノールのはいったワインやチョコレートに、活性酵素は含まれています。
タバコに含まれる有害物質は血流を妨げる
血流の理想は、サラサラのきれいな血液が、勢いよく全身を駆け巡っている状態です。ところが喫煙を続けていると、血が流れにくくなって、全身にさまざまな症状が現れます。それがまた肌トラブルの原因にもなっていくのです。
タバコに含まれる一酸化炭素
一酸化炭素中毒の恐ろしさをご存じですか?火事では炎に巻かれる前に、一酸化炭素中毒で命を落とすことが多いと言います。それぐらい毒性の強い一酸化炭素を、喫煙者はわざわざ体内に吸い込んでいるのです。
体中に酸素を運ぶヘモグロビン、一酸化炭素は酸素とくっつく前にヘモグロビンを奪ってしまいます。たたでさえ喫煙により血管は収縮し流れが悪くなった中、一酸化炭素は健康に必要な酸素を追い出してしまい、ますます流れを悪くしてしまうのです。
酸素が行き渡らないと、細胞の活性化も鈍くなります。そうなると肌に必要な栄養分が十分に行き渡らなくなるので、シワやタルミの原因になります。
発癌物質のニコチン
タバコに含まれているニコチンという成分が、タバコ依存の原因になっています。喫煙者がタバコ吸って落ち着くのは、減ったニコチンを補給することで、ほっとしているせいなのです。
ニコチンは一酸化炭素同様、毛細血管の収縮をうながします。血流を悪くし、肌のターンオーバーを遅らせます。
体内に入ったニコチンは、脳の一部を麻痺させて、さらにニコチンを摂取するように働きます。その誘惑をはね除けて、禁煙に成功したとします。すると最初の数日、ニキビが増えることがふります。
やめても肌荒れはよくならない。そう思ってしまい、また吸い始めてはいけません。その反応は体内から悪いものを出そうとする自然な反応です。決して禁煙効果がないからではありません。
ニコチンが体内から完全に消えるまで、また吸いたいという気持ちが起こるでしょう。そんなときは鏡を見て、一気に老化した自分の姿を思い浮かべてください。そんな姿にならないためにも、禁煙は必要なのです。
まとめ
タバコは肌にとっては、害しかありません。美肌のためには、すぐに禁煙することをおすすめします。
- ビタミンCの破壊によるシミの増加
- タールなどの有害物質により増える活性酸素
- ニコチン、一酸化炭素による血流障害による老化加速
これらの原因である喫煙をやめれば、肌を美しい状態に戻すことは可能です。明日からと思わずに、早速今から禁煙してみてはいかがでしょう。